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横浜でマンションが傾く
2015年10月16日
横浜で大手のマンション販売会社と系列の建設会社が建てたマンションが傾いていると報道されています。原因は地盤の地耐力が不足しているにも関わらず、正確ではないデータで杭工事を行ったことに起因する傾きらしいのですが、問題は故意のデータ改ざんが疑われているところなのでしょう。
故意のデータ改ざんで思い出されるのが、今から10年前に世間を騒がせた姉歯問題です。すべての建築世界に恐ろしいほどのインパクトを与えたこの事件の前と後では建築にかかわる何もかもが変わってしまいましたが、一番大きく変わったのは、日本人はこのようなデータ改竄はしない、という大前提が崩れた事かもしれません。
ただこの事件は、結果として一建築士個人の事件として法的に扱われ、1審判決も出ています。それが真実だとしてもそれで本当に大丈夫なのか危惧した人も多かったと思いますが、あれから10年、とうとう今回は大手という組織に属する人達が、結果を考えるとそら恐ろしい事に手を染めてしまった訳です。結局経済の論理優先主義では大手も個人も関係なく、このような事が起こってしまう時代に突入しているのを実感しました。
そう言えば日本だけではなくドイツの自動車会社もデータ改竄で世界中を騙していました。空気は目に見えないので誤魔化したんでしょうね。
住宅づくりもそうなのですが、建築工事には、隠れてしまう所がとても多く、工事が進むと見えなくなります。そしてそこにこそ拘らないと後で取り返しのつかない問題が起こってくる要素が多く詰まっています。でも拘ると高くつき工期も延びる。経済の論理に合わなくなります。今の家づくりは2か月が標準工期らしいので。
我々、住宅づくりを本業としている者は、何のためにお家を造らせていただいているのかを、常に意識しながら事にあたる必要があります。それは「いい家をつくる会」会員が共有する信条「住まいとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」です。
私たちが最初に弊社を訪問していただいたお客様に説明させていただく内容は、隠れてしまって後で見えなくなる所ばかりです。あげさせて頂いた工事写真はその一部ですが
写真①は基礎コンクリート一体打ち工法
写真②はTIP工法
写真③は屋根外断熱施工
それこそ地盤補強から基礎工事、柱や梁などの構造的に重要な部分。加えて断熱・気密に換気に涼温房など。工期も平均6か月かかりますとご説明させていただきます。
建築は経済倫理を優先すると危うくなります、皆さんが気が付かないだけかもしれません、今回のような大事にならないと。
また嫌なことがおこってしまいました。こんな事が当たり前のように繰り返されるのはゴメンですね。皆さん、隠れてしまう所にこだわりましょう。